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2014年2月5日水曜日

向陽学園レポート やっさん

 児童自立支援施設の初見学ということから、どこか足元がふわふわした気持ちで一日が始まりました。
 参加者は横浜駅で集合し、そこからバスで20分ほど揺られ、現地最寄りの停留所へ。

 停留所から3分ほど歩き、大きく左へ弧を描く長い坂を上がって行きます。



 施設に近づくにつれ桜の木がたくさんあることに気づき、あたりを見回すと「さくら道坂上」と記された看板が目に止まりました。


 「さくら道坂上」と呼ぶにふさわしく、春には満開の桜吹雪が見られるのだろうと、坂を登り切った所に「児童自立支援施設 向陽学園」はありました。




 施設の方との挨拶もほどほどに校舎内の図書室へと案内され、さっそく副園長から施設の歴史、寮と学校の密な連携、少年たちの住まいと小舎夫婦制などの取り組みについて説明を受けました。


 質疑応答となったとき「施設の周りにある桜の木が見事ですね」と話すと「えぇ、ここは桜坂。地元の人々は親しみを込めそう呼んでいます」とのこと。


 この「桜坂」という言葉。声に出すとなんともいえない語感と響きが心に沁みます。桜坂。



 施設見学は校舎内の見学から始まりました。クラス構成は最小1名から最大6名に、先生とサポートの施設担当が2名付くそうです。全員に目が行き届く体制では、さぼったり、居眠りしたりもできません。


 校舎の入り口へと案内され「横浜市立新井小学校中学校 桜坂分校」と記された札に「この学校から先生が授業を教えに来られるのですか?」と聞くと「いえいえ。この桜坂分校専任の教師が勉強を教えているんです。位置づけとして横浜市立新井小学校中学校の分校ですが、独立した授業体制を行っているのですよ」とのこと。



 職員室は「オン・ザ・フライミーティング」という取り組みが実施しやすい席の配置となっていました。具体的には寮担当と教員がペアーとなるように席が配置され、学校と寮の連携が密に取れる工夫がなされていました。


クラス構成、専任教師、寮と学校の密な連携と、予想より充実した内容に驚きました。




 つづいて、寮内における少年たちの日常や暮らしの見学。



 この日は神奈川県BBS会の方々によるたこ焼き実演が各寮で行われており、そこへ私たち、他のBBS会員がお邪魔して少年たちの日常や暮らしを見学させていただきました。


 寮へお邪魔する直前までは柄にもなく肩に力が入り、変に構えて緊張していましたが、一歩寮内へ入ってみると、そこには嬉々としてたこ焼きを作る少年たち。 その光景を見た瞬間、「(あぁ、俺は本当にバカだ。見ていない、知らないから偏見や先入観で緊張してたんだ)」と自分自身を見つめ直せたように思いました。

 そこに居たのは、どう見たってどこにでもいる普通のありふれた少年たちだったからです。
シンプルに考えれば当たり前のことなんですけどね。児童自立支援施設へやってきた経緯はどうあれ、そこにいるのはただの少年ですから。
それがわかれば自然と笑顔で話しかけることができました。

 わたし自身が大阪出身ということもあり、粉もん作りについては一日の長があります。楽しそうに焼いてる様子を見て「もうちょっとフチをキレイにしてから、こう手首でクルッとまわしたほうがキレイに焼けるで!」とドヤ顔で実演。
焼き方の見本を見せれば、少年たちもコツを掴み、次々と綺麗に焼き上げていきます。上手に焼けては、こぼれる少年たちの笑顔。見ているこっちも釣られて、笑顔になります。


 寮内見学を終え、校舎内の図書室へと戻り、参加者各自の感想と振り返りを行い、新しい気付きや自分とは違う観点を学ぶことができました。



 こうして長いようで短い施設見学を終え、大きく右へ弧を描く長い坂を下りて帰ります。


 坂を下りながら何気なく立ち止まり、後ろを振り返り見ました。施設から遠のくに連れ、その全体像が見えることに気づき、あたりを見回すと施設全体にはゲートや仕切りフェンスなどが一切無い、とても開放感のある所だったんだとハッとしました。


 遠くに見える坂の上には葉も花もついていない重い色をした桜がどっしりと立ち並んでいました。機会があれば桜吹雪の舞う春にまた来たいな。


 桜坂。


 そうつぶやいてバス停へ向かう皆に追いつけるよう坂を駆け下りました。

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